東京地方裁判所 昭和41年(刑わ)5848号・昭41年(刑わ)6540号 判決
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〔判決理由〕(無罪部分についての判断)
被告人に対する昭和四一年一二月一六日付起訴状記載の公訴事実中第四の(一)及び(四)の事実の要旨は、
「被告人は
一、昭和四一年四月一六日頃、安全信用組合において、同組合において、同組合と極度額二〇〇万円の手形貸付契約を締結してその金員中五〇万円を借受けるにあたり、ほしいままに同組合に対し業務上保管にかかる同会社所有の判示第三の(一)記載の土地および家屋を根抵物件として提供し、同月一八日前記東京法務局新宿出張所においてその旨の登記をなし、もつてこれを横領し、
一、同年六月七日頃、宝生産業株式会社において、同会社と極度額一〇〇万円の手形貸付契約を締結してその金員中五〇万円を借受けるにあたり、同会社に対し業務上保管にかかる判示第三の(三)記載の土地および建物を根抵当物件として提供し同日東京法務局新宿出張所においてその旨の登記をなし、もつてこれを横領し
たものである。」
というのであり、右の事実は当公廷における各証拠によりこれを認めることができるが、右の物件については、いずれも被告人が判示第三の(一)および(三)記載の如く担保物件として提供したときに既に横領罪を構成しているものであり、これを更に担保に提供したとしても、新に横領罪を構成することはないものといわなければならない。従つて、この点については刑事訴訟法第三三六条により被告人に無罪を言渡すこととする。(牧 圭次)